ジェームズダイソンアワードのお知らせ
今年の夏は、ダイソンの羽根のない扇風機がたいへん良く売れているそうですが、そのダイソン社の創業者である、ジェームズ・ダイソンの名を冠した国際アイデアコンテスト(デザインコンペ)をご存じでしょうか。その名も「James Dyson Award 」。実は今年から私がこのコンペの審査をお手伝いすることになりました。
このコンテストの第1の特徴は、テーマが毎年同じで「問題を解決するデザイン」であること。デザイナーでもあり発明家、起業家でもあるジェームズダイソン氏は、美的センスと技術センスの両方をもつ人材を、デザイン・エンジニアと呼びます。まさにこのコンテストは未来のデザイン・エンジニアのためのデザインコンペ。「ちょっとかわいいかも」とか「こんなのあってもいいでしょ」というようなアイデアではなく、「この問題を解決しました」という硬派なアイデアを求めています。
もう一つの特徴は応募資格。「現在または過去4年以内に、大学、大学院、ならびにそれに準じる教育機関において、最短でも1学期以上の期間にわたって、工学またはデザインを専攻していた者」。つまり学生、ないしは卒業後4年以内の人のためのコンペなのです。そして賞金1万ポンド(約130万円)は最優秀者に授与されるだけでなく、その人が所属している(いた)大学にも(!)同額が寄附されます。問題を解決する人物が育ってほしい、育ててほしいというダイソン氏の願いが込められているのです。
最後に、このコンペでは、新たに考案された未発表作品を提出する事は要求されていません。つまり、学生や卒業生の皆さんは大学の課題で作った物や、卒業制作の作品でも、オリジナリティさえあれば応募することができます。締め切りは8月2日と迫っていますが、既に完成した作品なら十分に間に合うと思います。
日本は今、未曾有の災害と技術神話の崩壊に見舞われています。しかし、そんな時だからこそ、日本の若者が本物の「問題を解決するデザイン」を提示するチャンスだとも言えます。若きデザイナー、エンジニアの力強い作品を期待しています。
既に4月からエントリーを受け付けていて、その作品は随時ウェブで公開されています。写真は昨年度の 国際最優秀賞「LONGREACH」- 救命用浮き輪発射装置です。
エントリーページ:
http://www.jamesdysonaward.org/Default.aspx
Openers紹介ページ:
http://openers.jp/interior_exterior/news/dyson_110425.html
こんばんは。
日本ではどのコンペを手本にしたのか、応募者自ら権利を守ることを求め、賞金ですべての権利を譲渡させる、という雛形が出来ているように感じます。
対照的に、ダイソンのコンペははっきり未来を向いていて、テーマが明確で、コンペの良い手本と思います。
誰々風デザインではなく、自分のデザインを追及する学生が増えると、楽しい日本になりますね。
unoさん
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、知的所有権についての扱いは、ダイソンアワードを特徴づけるものの一つです。
企業主催のコンペのほとんどは、よいアイデアがあったら自社で商品化しようという事を考えているので、応募条件として権利譲渡を求めるのですが、このアワードでは「育成と奨励」が基本姿勢なので、すべての権利は応募者に残されます。
主催がダイソン社ではなくジェームズダイソン財団である事が重要な意味を持っていますね。
今知って、あ、応募したい!と思ったらぎりぎりでした。(^^;)
来年応募してみたいです。それまで、考えを練ってみようかと思います。
とある、工業大学の建築学科デザインコースですが、okですよね?