ようやく

Exhibition,Technology and Design,UTokyo — yam @ 10月 22, 2014 6:52 pm

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東京大学の教授に就任して一年半が経ちました。慣れないことも多くて、ばたばたしておりましたが、少しまとまった形で報告できることが整ってきたので、皆さんにお知らせします。

私たちの研究室では、先端技術の夢を社会に伝えるべく、様々な研究者と共同でプロトタイプを開発する活動を行っています。その発表の場として、Research Portraitという展覧会のシリーズを企画しました。その第一弾として、「チタンをコモンメタルへ」を目標にするレアメタル研究者の岡部徹教授、Additive Manufacturing(3Dプリンティング)研究の草分け的存在である新野俊樹教授との共同でチタン/3Dプリンティング 〜マテリアルの原石を開催します。

チタンは、軽くて強くて耐食性にすぐれ、金属アレルギーを引き起こさないなど実用に優れた特性を持っています。医療用のインプラントやゴルフクラブヘッドなどに使われているものの、私たちになじみのある金属とは言えないチタンですが、実は地球の地表付近に存在する元素の中では10番目に多く(銅やニッケルよりもおおい!)資源としてはふんだんにあるのです。とても酸素を結びつきやすく、酸素を引きはがすのにエネルギーを使うために、高価なレアメタルとなっています。岡部先生は、ご本人曰く「誰も注目しない頃から、ずっとレアメタルを研究してきた」その分野の第一人者でです。

3Dプリンティングも、オバマ大統領が次世代のの基盤技術として推奨して有名になり、パーソナルなものづくりのための魔法の箱として注目されています。しかし一方で十分な精度、強度が出ない、人々が自由に使えるソフトウェア環境が整っていないなど、基礎研究が十分でないこともあって、「なんでも作れる」からは少し遠い状況にあります。新野先生は3Dプリンティングを含むAM(Additive Manufacturing)技術についてはリーダー的な宅割りを果たす研究者です。

どちらの技術も、私たちの生活を支えるマテリアルとして、今ホットで、かつ本格的な実用化直前にあります。ほんの百年前まではアルミニウムもレアメタルでしたし、合成樹脂もプラスチックな(自由に造形できる)夢の素材でした。チタンの精錬技術が向上し、3Dプリンティングの製造技術が洗練されてきたとき、デザイナーやエンジニアは、どのようなプロダクトを生み出せるでしょうか。「チタンの椅子」や「チタンのピアス」、3Dプリンタで作った「タケトンボ」や「透かし」などのプロトタイピを見て、未来のかけらを見つけていただければ幸いです。

展覧会タイトル:
Research Portrait 01 「チタン/3Dプリンティング 〜マテリアルの原石」
日時: 2014年10月23日(木)- 11月2日(日) 11:00 – 19:00(入場無料)
場所: 東京大学生産技術研究所S棟1階ギャラリー
主催: 東京大学山中研究室、岡部研究室、新野研究室
Web: http://www.design-lab.iis.u-tokyo.ac.jp/exhibition/rp01/index.html#header
協力: アスペクト株式会社、トーホーテック株式会社、東京大学前田研究室

 

1件のコメント »

  1. 山中さま

    ずいぶん前にこちらにコメントし、その後一度銀座松屋にてダイソンの展覧会をされた際にお会いしました荒井朋子です。本日、東大にてdesigning bodyを拝見しました。わたし自身バレエをしていたこともあり身体機能について関心を持っているのですが、それが人工物と接続されるということでいつもアンテナを張っていました。今回大変驚いたのはテニスなどで使う屈伸運動に向けた関節パーツです。どのように使うのか一度見てみたいなあと、(テニスファンとしても)、淡い期待を抱いております。今回トークショーに伺う時間を取ることができませんが、またなにか予定される際には伺いたく思います。
    では、展覧会の成功をお祈りしております、頑張って下さい;-)

    コメント by TomokoArai — 6月 4, 2015 @ 9:28 pm

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