tagtypeキーボードがMoMAの永久所蔵品になりました。その2
tagtype Garage Kitの開発においては、エンジニアリング設計と意匠デザインの区別は全くありませんでした。
ユーザーが回路や構造体を自分で組み立て、必要に応じてカスタマイズできる事を目標にしたキットとして、内部構造も回路も、わかりやすく、機能的かつ美しく設計されなくてはならないと考えたのです。
通常は見えないものとして設計される基板は、ここではユーザーが理解しやすいよう機能別に分割され、電子回路そのものも信号の流れの視覚化を意識してデザインされました。基板の素材についても外装色にあわせて、白いボディ用には白、黒いボディ用には黒い基板が使われ、基板と基板をつなぐハーネスの色さえも、シルバーとブラックにコーディネートされました。
これらの基板を支えるのは、電子機器としては珍しい、レーシングカーやバイクのようなアルミのフレームです。ワイヤレスにしたり、ディスプレイを直結したりするなどの機能を追加するために、ユニバーサル基板(汎用の基板)を含めて複数の基板をかかえることができる構造にしました。カスタマイズのための内骨格構造ということですね。
人間工学的な最適化を目指した特徴的な形状のキーは、プラスチックバネの繊細な構造体に一体成形されて支えられています。基板に直接手が触れないよう外装カバーを備えていますが、部構造が露出されるよう最小限かつ半透明にデザインされました。
ここで開発された、金属プレートの内骨格を、柔らかいエラストマーで挟み込む新構造のグリップは、後にOXOのキッチンツールに応用されています。
Photo by Yukio Shimizu
パーマネントコレクションへのご登録おめでとうございます。
先日の走行用義足に続きtagtypeの分解写真を拝見して大変参考にさせていただいております。
走行用義足が関節を有しているとは思っていませんでした。少し考えてみればあって当たり前ですが。。。
これらの製品の外観のすっきりした印象を裏切る部品の数に驚き、それでいてムダの無い構成に感服いたしました。
剛体と弾性体との組み合わせ、部品への機能集約等々。。。部品を見ていて本当に飽きません。