ブレードランナー達
最初は、グランドの隅の方から眺めていました。怖くもありました。「デザイン」などという言葉が入り込む余地がないのではないか。彼らの切実な状況に、デザイナーなど必要とされていないのでないか。
しかし、練習会に参加し、義足のアスリート達を見て、やはり本物は美しいと思いました。彼ら、彼女たちの走り、跳躍する様を夢中になってスケッチしました。
私がスケッチしているのを見て、ある選手が声をかけてくれました。
「美術関係の方ですか」
「いえ、工業製品のデザイナーです。」
私は、自分が彼らを見てどう感じているかを懸命に話しました。何をしたいと思っているかも。両足のふくらはぎから下に、薄いカーボンファイバーのブレードを履いたその青年は、にっこり笑って言いました。
「この脚をかっこいいって言ってくれて、うれしいです。自分でもそう思ってました(笑)。もっとかっこいい義足、欲しいです。そう言う考え方をしてくれる人がいることが、とてもうれしい。今度○○(別な競技)の練習も見に来てください。すごい義足があるんですよ」
やれることがあるかも知れないと感じた瞬間でした。
カーボンファイバーのバネの形状が、刀のようにシャープに見えることから、義足のアスリート達は、尊敬を込めて “Blade Runner” と呼ばれています。
8月23日(日)に、メダリストを含むブレードランナー達と語り合うイベントがあります。実際に走ってくれるかも。
私も義足が美しいと思う人間の一人です。
じっと見たい、と思いながら
なぜかそうすることがいけないことのような気がしてしまいます。
(機能・性能はもう当然のこととして)まずはデザインで語られるほどの
そんな義足が登場する日も、
近いような気がしました。
ご活躍を。
550さん。コメントありがとうございます。山中です。
きれいな靴にちょっと目を奪われるのと同じように、
なにげなく視線を送ることができる日が来ることを私も願っています。