面と膜
養老孟司さんや原研哉さんと対談して思ったこと。
それは、膜と面の違い。
私たちののからだは皮膚という膜で覆われています。太古の昔、タンパク質の塊が、環境と内部を分かつ膜を作ることができたとき、私たちの祖先の誕生しました。それ以来、植物動物を問わずあらゆる生物の表面には、膜があります。それはあらゆる臓器にもおよび、心臓も、脳も、骨さえも膜に覆われています。最小単位である細胞そのものも。
私たちプロダクトデザイナーはしばしば、生物の形をお手本にして、曲面をデザインします。でも多くの場合、そこには「膜」の構造はありません。金属やプラスチックでできた工業製品の表面は、単に物質の境界です。そこにどんな曲面をなでつけても膜構造が生まれるわけじゃない。
曲面を作るのではなく、精緻な内部構造を作ってそこに膜を張る。いつもそんな風に製品をデザインすることができたらいいなあ。
そう思いますよね。ネトさん。
(写真:吉村昌也)