未来予想図
あけましておめでとうございます。
この時期になると未来を語る特集がメディアを賑わせます。不思議な習性です。
私たちプロダクト・デザイナーは、少し未来の物、家電製品なら半年から2年先、乗用車なら4、5年先に売り出されるものを、日常的にデザインしています。その意味で少しは先見的な人種のはず。では、デザイナーは予言者たりうるでしょうか。
いわゆる数字で予測できる未来があります。高齢者の人口比率だとか、乗り物の移動速度とか、メモリーのサイズとか。これらの統計的予測はかなりの確率であたるようなのですが、そうなった時の車やコンピュータの形を、20年以上のスパンでちゃんと描くことができたかというと、これは結構難しい。
1980年代には、デザイナー達が空想の羽を伸ばした、21や2000という数字を冠した車や家電の未来デザインプロジェクトがたくさんありました。しかし今見ると時代を感じずにはいられません。あの頃未来っぽいと思っていた車、例えば、ドアも天井も全部透明で、ヘッドライトが横に細長いラインのような車なんか、21世紀になってもほとんど見ないですね。
なんであたらないのか?。
デザイナーが描く「明るい未来」には、現時点での私たちの幸福感や美意識が反映されます。しかし、私たちの価値観は、時代と共に大きく変わってしまいます。逆に言えば本当の未来の生活は、おそらく私たちには幸福そうとも美しいとも思えないのではないでしょうか。それ故にいつの時代にもその時代なりの「未来的なデザイン」が存在し、それは、時代とともに「懐かしい未来」になって行く。
フューチャリストと言われたシド・ミードは、こういったそうです。「私は未来予想図を描いているのではない。現代の人々が望む未来を見せているのだ。」これこそがデザイナーができる事だとも言えますね。
上は2008年に千葉工業大学のホールの緞帳のために描いた絵です。タイトルは “Horizon of the Mechatronic Galaxy”、メカトロ銀河の地平線です。川島織物の職人さん達が約2ヶ月をかけて、幅18メートルの緞帳として見事に織り上げてくれました。
(絵をクリックすると拡大画像になります)
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明けましておめでとうございます。
今年も楽しんで学びながらブログを拝見したいと思います。
この緞帳はさすが工業大学にふさわしいデザインですね!
しかも川島織物のすばらしい職人技が凝縮されているのでしょうね。
是非、実物を見たいと思いました。
今年もよろしくお願いします。
powaroさん
昨年は、たくさんのコメントをありがとうございました。
幅20メートルの織り機に職人さん15人がかりで、織っていく様は圧巻でしたよ。
今年もよろしくお願いいたします。
はじめまして、
MIXIのシドミード関連のコミュニティから貴方の名前を知り
ちょうどスタイリッシュなこのブログを見つけ書き込ませていただいています。
シドミードについて私はかなりのファンですが
日本にも貴方のようなシドミード的なニュアンスもしくはもっとプログレッシブな方がいたことを今日知り興味を持ちましたので
このブログに書き込ませていただいています。
私はプロではありませんが
趣味ながらいろいろなサイトに3DCGとか2DCGをアップしています
海外のRENDEROSIRYというサイトでhideakifujiとして作品発表しています
去年はインディーズの方からCDジャケの仕事貰い
なんとなく趣味の領域にいながらも頑張っているものです
とにかくコノブログは面白そうで、私なりの活動の参考になりそうで勉強になりそうなので愛読者になります
突然のコメント失礼しました
hideakifujiさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
私が学生の頃、まだシドミードの画集は一冊だけしか出版されていませんでした。すり切れたSENTINEL(1979年の初版本)は今でも私の宝物です。