映像制作、ついてに飛行機もデザインしちゃいました。その2

Sketches,Technology and Design,Works — yam @ 10月 20, 2012 1:20 am

 

飛行機をデザインするというのは昔からの夢の一つでした。今回は映像作品ですが、自分がデザインしたものが大空を飛ぶシーンを見ることができたという意味では、少しばかり夢が実現しています。

前方に尾翼を持つ複葉機というのは、1903年に初めて動力飛行に成功したライト兄弟のフライヤー号と同じ形式です(前方なのに尾翼ってなんか変ですが、「前尾翼」というらしい)。未来的なスタイルを与えることで、過去と未来を同居させたいと考えました。

とりわけ気を使ったのは、機体そのもののデザインよりもむしろ飛び方。しなやかに滑らかに、そして軽やかに舞うように飛んで欲しくて、もっと横滑りさせてとか、翼にしなりをいれてとか、何度も柴田さんに注文を付けてしまいました。

そう言えば20年近く前に一度だけ、複葉機を操縦したことがあります。トロントの航空博物館を訪ねた時のこと。展示室の片隅で椅子に座ったパイロット服のじいさんが手招きするので近寄ってみると、小さな滑走路にあるクラシックな木製複葉機を指差しながら、あれでトロントの空を飛んでみないかと。

その複葉機は前後2座のタンデム機。言われるがままに前の座席に座って、足下から突き出ている棒状の操縦桿を握ると、いきなりガクガクゆれる。どうやら後部座席の操縦桿と連動しているらしく「わしがこれをゆらしたら、お前が操縦しろ」。えっ、えっと思う間もなく小さな飛行機はあっという間に空へ。

広大なカナダの大地に見とれていると操縦桿が再びガクガク揺れて、それから数分間、その複葉機は私のものでした。想像以上にクイックな挙動にびくびくしながらも、紅葉のトロントの街がよく見えるよう、旋回したり機体を傾けたり。夢のような時間…。

そんな体験が活きたかどうかはわかりませんが、WOWさんのおかげで、今回もとても気持ち良く飛ぶことができました。

 

映像制作、ついでに飛行機もデザインしちゃいました。その1

Sketches,Works — yam @ 10月 15, 2012 9:21 am

私とパナソニックさんのおつきあいはとても長くもう15年以上になります。その間、家電製品の未来や、パナソニックという会社のデザインのあるべき姿について、何度も議論し、たくさんのものをデザインしてきました(製品化にいたらなかったモデルが死屍累々ですが)。今日のパナソニックのデザインに少なくない影響を与えちゃってるかもしれません。

で、今回はムービー制作。欧州向けにパナソニックデザインのプロモーションビデオを作って欲しいという依頼でした。もちろんショートフィルムとはいえ、自分の作品プレゼン用しか作ったことない素人の私がひとりで作れるはずもなく、パートナーとして選んだのは、今をときめく映像制作会社WOWさん。私の方でコンセプトワードやストーリーボードを描いて世界観を提示し、パナソニックのデザイナーさん達とも何度も打ち合わせをしながら製作したのが、このムービーです。

映像コンセプトは「Future Craft: デザインディティールの探査飛行」。日本製品らしい繊細な作り込みを、製品を巨大なビルに見立て、空を飛びながら見て回ります。ついでにその探査飛行のための飛行機もデザインしちゃいました。

映像監督は「デザインあ」の映像制作でも活躍しているWOWの柴田大平君です。とても楽しい仕事でした。(登場する複葉機のデザインの詳細については、その2で紹介します)

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