青空の大きさ

Daily Science — yam @ 7月 25, 2010 5:14 pm

skyblue

中学の頃に、地平線までの距離の話を何かで読みました。地面が平面であれば、地平線は無限の彼方になりますが、地球は丸いので、ある所から先は向こう側になって見えなくなります。つまりそこが地平線です。

地平線までの距離は以外に短くて、身長160センチの人で約4.5キロ。もちろん地球には起伏があるのでそうシンプルではありませんが、もし、南米の有名な塩の平原のように平坦な場所なら、自分を中心とした半径4.5キロの円が、見渡せる地面の範囲と言うことになります。「見渡す限りの土地」とか言っても案外狭いもんです。

しかし、少し高いところに上がると地平線はぐっと遠ざかります。例えば六本木ヒルズの屋上展望台に登ると計算上は50km先まで見渡せます。王様が領土を見渡すには高い塔が必要なわけです。

では、私たちが見えている空の範囲はどれくらいなのかをちょっと考えて見ました。夜になると私たちは星々まで見渡せますので、まさに「宇宙の果てまで」見えるのですが、ここでは晴れた日の青空を考えてみます。空の青さのもとである頭上の大気を見渡しているのだと考えれば、地平線のすぐ上を通る視線をのばして行って、空気がなくなるところまでを「青空の半径」と考えることができるでしょう。

大気は上空に行くほど薄くなる一方なので、正確な厚さを言うことはできませんが、おおむね百キロから上を宇宙と呼ぶそうです。そこで大気の厚さを100キロとして計算してみたら、「青空の半径」は約1100キロになりました。東京から北海道の空も九州の空も見えていることになりますね。まあ北海道の100キロ上空が見えているだけのことではありますが、北海道の人と同じ空気を見ていることは確かです。

一方、曇り空の場合は、雲の高さまで空が下がってきたことになるので、見渡せる範囲はぐっと狭くなります。雲の高さを2000メートル(雨雲がこれくらい)とすると、地平線を通る視線が雲につきあたるまでの距離は約160キロ。地平線近くでは、静岡や長野の雲が見えていることになります。富士山の見え方からするとそんな物でしょう。

というわけで、自分の眼が届く世界の大きさについて考えてみました。足下を見ると住んでいる町程度の大きさしか見えないのに、青空を見上げると日本中の空が見えている。そう思うとちょっといい気分になりませんか。

illustration by Minato Yamanaka

5 Comments »

  1. […] This post was mentioned on Twitter by Go, 西田シャトナー, ソノヤマ・タカスケ/T.SONOYAMA, あお, Shunji_Yamanaka 山中俊治 and others. Shunji_Yamanaka 山中俊治 said: ブログアップです。「青空の大きさ」。 @100kwさん、@KorokkeCurry さんとのtwitter上の対話をベースに考えたことを記しました。 http://ow.ly/2gbVt […]

  2. すてきなお話ありがとうございました。想像してみたらなんだか幸せな気持ちになりました。僕は、空を見ているとすーっと吸い込まれるような気がして、普段から空を見るのが好きなんですが、遠くに見える空の町まで飛んでいけたらなぁ、なんて今回のお話から思いました。明日からは世界が少し広がって感じられそうです。

    コメント by kosuke — 7月 25, 2010 @ 10:08 pm
  3. kosukeさん

    私も子供の頃から本当に空ばかり眺めている子供でした。
    空好きが高じて、夢の中ではいつも空を飛ぶことができます。
    あまりにも自然に、ビルの上から空中に泳ぎ出す夢をいつも見るので、いつかリアルワールドでうっかりやってしまいそうで怖いです。

    コメント by yam — 7月 25, 2010 @ 10:52 pm
  4. 建築は小さなものですが、その建築から見える空は大きく広いのですね。
    気分のよくなるお話です。

    コメント by Nishikura Kiyoshi — 7月 27, 2010 @ 11:59 am
  5. とてもいいお話で、感動しました。
    ありがとうございました。

    コメント by 大 — 7月 27, 2010 @ 3:28 pm

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