天使は昆虫から進化した

Sketches,Works — yam @ 2月 5, 2010 11:43 pm

hallucigenia_sketch

骨展が終わって、人前で話す機会が減ってほっとしていたのですが、このところ立て続けです。昨日はとうとうダブルヘッダー。

第1試合は、お台場テレコムセンターで行われたキッズデザインセミナー。「iPhoneを使いこなす赤子」のムービーに、皆さん相当の衝撃を受けていただいたようです。当分使えそう。

第2試合は、森美術館で開催されている展覧会「医学と芸術展」の関連イベントで、理化学研究所の倉谷滋さんとの対談。生物の形態進化と発生がご専門の倉谷さんは、本当にお話が上手なので、私自身が楽しませていただきました。

倉谷先生いわく「天使は進化発生学的に見ると、六本足の動物から進化したとしか考えられない」。生物は、進化の過程で様々な器官のつながりを急に変える事はできない(ジョフロアの法則と言うそうです)ので、鳥の翼が祖先の恐竜の前足に由来するように、天使やペガサスの祖先には、後に翼になるもう一対の足があったはず。だから天使の祖先は昆虫かもって。

他にも面白い話題が満載でした。「亀の甲羅は肋骨を折り返して作られる」「カメと鶏は発生過程が近いので、甲羅のある鶏ができるかもしれない」「目の構造は完成度が高すぎて、他の『見る器官』の進化を阻んでいる」「人を解剖したときに、最も生々しくその人を感じてしまうのは手だった」「生物らしい構造は螺旋と節」「腕時計の部品が耳小骨に似ている」「生物は最初にマイクロマシンを開発して、後にテコのようなマクロな構造を作り上げた。」

どのタイトルでもブログ記事一本かけてしまいそうです。

お話の中にカンブリア爆発の話も出てきて、グールドの「ワンダフル・ライフ」を読んだときの感激を思い出しました。当時、自分でもやってみたくなって化石の復元図のつもりで描いた「ハルキゲニアの想像図」を、古いHDからサルベージしてきました。書いたのは1996年です。7対の足に7対のとげ。こいつならたくさんの翼でも大丈夫。あー、ルシファーだとまだ足りないか。

4 Comments »

  1. […] This post was mentioned on Twitter by ROBART(ろばと), KOJI, proto_jp, ふむふむ, JEL and others. JEL said: カッコイイ、けどキモイ。 http://lleedd.main.jp/blog/2010/02/05/kuratani_shigeru/ […]

  2. […] カンブリア紀の不思議な生き物たちがちょっとしたブームになったのは、90年代の半ばでしたでしょうか。先日掲載したハルキゲニアをはじめ、神様の試作品などと言われる五億三千万年前の生物群が、S・J・グールドの著作「ワンダフル・ライフ」に紹介され、その後NHKの番組でブレーク。様々な想像図やCG、果てはロボットまで製作されてマスコミを賑わしました。 […]

  3. […] カンブリア紀の生物のスケッチから、オパビニアです。五つの目、象の鼻のようにのびた口、開いたエビのような胴体としっぽ、もうわけがわかんないデザイン。これも過去に紹介したハルキゲニアやアノマロカリスと同じく、化石の写真から私なりに書いてみた、「古生物学者ごっこ」の一枚です。 […]

  4. […] 山中俊治の「デザインの骨格」 ? 天使は昆虫から進化した (via proto-jp) (via jinon) […]

RSS feed for comments on this post. TrackBack URI

Leave a comment

Copyright(c)2024 山中俊治の「デザインの骨格」 All rights reserved. Powered by WordPress with Barecity