空気が乾く

Daily Science — yam @ 2月 4, 2010 1:23 am

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坂井直樹さんのブログで見事な水滴の写真が紹介されていたのでそのまま拝借。

子供の頃、「湿度70%」が不思議でした。「空気中に含まれる水分の量」と聞いて、空気全体の七割が水なのだと思ったのです。すると本当の空気は3割しかない!。そんなに水が空中にあったら溺れちゃうかも。中学生になって、空気が水蒸気を抱え込める量には限界(飽和水蒸気量といいます)があって、その限界に対して、70%なのだということを知りました。だから湿度100%でも溺れる事はないと。

さて、暖房を入れたりストーブを焚いたりすると「空気が乾いて、喉が痛くなる」と感じる人はたくさんいるでしょう。ヒーターでタオルを乾かすように、熱が水分をどこかへ飛ばして空気そのものを乾かすイメージがありますが、考えてみると妙です。タオルの場合は水が空気中に逃げていく、でも空気を乾かすといっても、水の行き場がないし。

ではなぜ乾くのか。実は。気温が上がると空気の飽和水蒸気量は大きくなります。つまり、ストーブによって暖められた空気は、抱えている水の量は変わらないのですが、水を抱えられる器が大きくなる。余裕ができた空気はあたりの水分を吸い上げ、当然、私たちの体の水分も奪います。タオルなども乾きやすくなるので、「空気が乾いた」と感じるのです。

逆もあります。水をいっぱい抱えた空気の温度が下がると、今度は器が小さくなって、やがて水を持っていられなくなります。その結果、空気から放り出された水が「露」です。冷やされた空気は、水を持ちきれなくなって、ガラスの上や、葉っぱの上に水を置いていく。

温度によって水を抱え込める器の大きさが変わる。中学で習ったような気がしたのですが、先日妻とスタッフに話したら感心されてしまいました。そして昨日はSFCの学生達にも…。

結局また、理科の授業みたいになってしまいました。

5 Comments »

  1. こう言う理科の考えって、不惑を超えると頭が呆けて来るから、頭の体操にもなって役に立ちます。

    それで、タイ人は風呂に入りません。
    その代わり水浴びを日に何度もします。
    これって、水の気化熱で体から熱を奪い、涼しく感じるためにやっているようなもんです。
    さすが暑い国の生活の知恵だと思ってしまいました。

    私も、そんなわけ無いと思っていましたが、暮らし始めて見て分かりました。

    スースーして気持ちいいよーん。
    日に二三回は、最低でも浴びてしまうのでした。

    コメント by ぐりぐりももんが — 2月 4, 2010 @ 12:39 pm
  2. こんにちは。
    「水を抱え込める器」の大きさが温度の高低で変わる・・・
    そんな説明を中学で教えてくれていたなら、「理科嫌い!」
    なぁ~んてことにならず、ひょっとして違う道を選べたかもしれない・・・などと、つい思ってしまうほど、分かりやすい表現ですね。
    山中さんのお話には、いつも説得力があります。
    理科の授業、是非これからもこのブログ上でお願いします。
    それにしても、画像の水滴は見事に美しいですね。
    心が洗われるような気がします。

    コメント by powaro — 2月 5, 2010 @ 1:24 pm
  3. ぐりぐりももんがさん

    そうですね。私も一生科学の心を忘れないで、生活のいろいろな現象に向き合っていけたらと思っています。

    タイの水浴びの話を聞いて、以前にアリゾナのツーソンに行ったとき、気温が45度を超える中、時々頭から水をかけながら歩いたのを思い出しました。あっという間に乾くので、べたべたしなくて気持ちよかったなー。

    コメント by yam — 2月 5, 2010 @ 5:38 pm
  4. powaroさん

    今からでも是非、「理科嫌い!」を脱して下さい。
    微力ながら、このブログがお手伝いになれば幸いです。

    コメント by yam — 2月 5, 2010 @ 5:41 pm
  5. […] 【その他】 山中俊治の「デザインの骨格」 » 空気が乾く 自分も昔は湿度80%って溺れちゃう!って思ってたクチです。 […]

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