働かないロボットたち
私が最初につくったロボット作品“Cyclops” (サイクロプス、2001年制作)は、人を見つめ、視線で追うだけの怠惰なロボットでした。“Ephyra”(エフィラ、2007年制作)は人が触るとびくっとするだけ、“flagella”(フラゲラ、2009年制作)にいたってはのたうち回るだけ。いずれも「働かないロボット」です。ロボットという言葉の語源は元々「労働」なので、「働かない」のはいわゆる形容矛盾ですね。
工場では、たくさんのロボットたちが文字通り労働を担ってくれています。アシモは研究用のロボットなので、それ自体は肉体労働を肩代わりしてはくれませんが、その二足歩行技術は、まもなく私たちの歩行を助けてくれるツールとして応用されるでしょう。古田貴之さんと私が作ったmorph3もアシモと同じような科学研究用ヒューマノイドロボットであり、Hallucigeniaシリーズは、その技術を応用した未来の乗用車のプロトタイプ。いずれもやがて私達のために働いてくれる事を目指しています。
しかし、最初に紹介したCyclops、Ephira、Flagellaについては、将来も私たちを楽にしてくれることはないでしょう。この3体のロボットは「生き物のような反応をする」ことで人をドキドキさせるためだけに制作されたのですから。
私がこの3体のロボットを作りながら探求してきたものは、生き物の仕組みですらありません。人がどんなものを生きていると認識するか、つまり私たち人間にとっての「生き物っぽさ 」の抽出です。そこで目指すものは寺田寅彦の言う「漫画」と同じように、「実物と似ない点において正に実物自身よりも実物に似る」ものなのです。
あー、今日の話もなぜか漫画方面に来てしまいましたが、ともかくもうしばらく、働かないロボットを作ってみるつもりです。
[…] This post was mentioned on Twitter by KOJI, やび. やび said: 働かないロボット=「実物と似ない点において正に実物自身よりも実物に似る」ものの探求。http://lleedd.main.jp/blog/2009/12/11/laborless_robots/ […]
こんばんは~。やっぱり、漫画に心が残っていらっしゃるんですね。
私は大人になってから、漫画のおもしろさやすばらしさ・・・
絵は言葉よりわかりやすく感情を表現出来るってことを、
知ったクチです。
働くだけがロボットの目的なんでしょうか?
なんだか、違うような・・・。
でも、私にはちょっと難しいお話です。ww