奇人天才シリーズその3:古田貴之さん
190センチに近い長身で人間とは思えないほど細身、ぎょろりとした目、異常にハイテンションでマシンガンのようにしゃべる。それが初めて合ったロボット博士の古田貴之さんでした。
場所は、表参道に面した高級マンションの2フロアを占拠する謎の研究所。2001年の秋にその研究所のボス、北野宏明さんに突然電話で呼ばれて、スタッフとともに完成したばかりのmorph2を見せてもらいました。身長40センチの、世界初のバック転をするヒューマノイドロボットの2号機です。でも帰り道の私たちの話題の中心はロボットではなく、設計者の古田さんでした。
「ロボットよりあの人の方がすごかったですね」「うん、尋常じゃなかった」
古田さんも、私が知る中では1、2を争う奇人天才です。ロボットを設計し始めると、マシンに吸い取られるように痩せていきます。morphの初号機を作ったときに体重が75キロから47キロまで落ちたそうです。最近では体脂肪率3%を切っているため、家庭用の体脂肪計じゃ計れないとか。しかも、食事だけでなく睡眠も取りません。平均睡眠時間は、週に2時間ぐらい。それを2ヶ月ぐらい平気で続けます。生きているのが不思議なぐらいの集中力です。
普段は温和な方ですが、ロボットの話を始めると、ものすごいハイテンションでしゃべります。子供の集まるロボットの実演会に付き添ったお母さん方は口を揃えて「えっ、あの人が作ったの? プロの司会のお兄さんかと思った。」
初めて会ってからまもなく写真のmorph3を一緒に設計し、その後、Hallucigenia 01、Halluc IIなども共同で開発しました。とにかく寝ない古田さんにつき合うのはかなり大変ですが、複雑な機構の空間レイアウトを頭の中だけで自在に操る才能には感動します。まるで脳内3DCADの古田さんと話をしていると、その場でどんどん設計が具体化していくのは本当に快感ですね。
実は彼は古田織部の血筋。けっこうへうげた所もあり、長生きして欲しいと切に願う友人です。
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こんばんは。
山中さんのブログを通じて、いろいろな
奇人・変人・・・あっ、もとい、
奇人・天才の方を知ることができます。
このシリーズがとても楽しみです。
今回の古田貴之さん。
3歳からロボット・エンジニアになろうと考えていた。・・・
と記事にありました。
そういう天才が日本人にもいらっしゃるんですね。
嬉しいです。
骨展ワークショップに参加致しました飯塚です。以降Blogをずっと拝見しています。
僕が山中さんを知ったのは大学のロボコンサークル時代に見ていた『furo Blog(先川原Blog)』でした。それまで自分の中でロボット他の技術的なモノに関する興味と、文具や家電のデザインに対する趣味的(消費者的)な興味とは別ものだったのですが、molphやHalluciを見てからは自分が作るモノも願わくば素敵なデザインにしていきたいなと思うようになりました。(今年新人設計者になったばかりなので今後は仕事で、、、と目論んでます)
これからもお二人の魅力的なロボット、期待してます。
こんばんは。山中先生の授業を聴講させてもらっているメディアデザイン研究科の赤羽です。
古田さんの講演は2年前に科学未来館で拝見しました。
山中先生がおっしゃる通り、本当に饒舌なプレゼンテーションでした。ロボットを作る楽しさに会場のほとんどの人が魅了されていました。子供たち全員が終始、爆笑していたことを覚えています。
理系の博士というと物静かなイメージがあったのですが、古田さんは今まで見たエンジニアの中で最もポップなエンジニアでした。
先月、ロボットクリエイターの高橋智隆さんの講演も参加したのですが、こちらもやはりトークがとっても面白かったです。ロボットエンジニアはまず、エンターテイナーでもあるんですね。
powaroさん、こんばんは。
そのうち奇人・変人シリーズもやってみたいと思います。
E-zukaさん、こんにちは。
ロボット作りは、知的好奇心と個人の生活感覚を総動員して作るものだと思います。
その結果、意図しない生活感が出てしまうことも少なくないですが…。
赤羽さん、こんにちは。
高名なとても怖いロボットエンジニアも結構いらっしゃいます。
漫画「へうげもの」を古田さんとリンクさせながら読むのが非常に面白いです。
[…] そんな石井さんの来日にあわせて、先週は食事会をセッティングしました。参加していただいたのは、コンセプターの坂井直樹さん、ロボット博士の古田貴之さん、慶應大学で私と同僚の脇田怜さん。案の定、ハイテンションぶりで奇人に属する古田さんと、話題豊富な坂井さんと三つどもえで、7時にスタートして気がついたら12時。怒濤の5時間でした。 […]