ブレードランナー達

Bones,SFC,Sketches — yam @ 8月 12, 2009 12:44 pm

blade_runner_10

最初は、グランドの隅の方から眺めていました。怖くもありました。「デザイン」などという言葉が入り込む余地がないのではないか。彼らの切実な状況に、デザイナーなど必要とされていないのでないか。

しかし、練習会に参加し、義足のアスリート達を見て、やはり本物は美しいと思いました。彼ら、彼女たちの走り、跳躍する様を夢中になってスケッチしました。

私がスケッチしているのを見て、ある選手が声をかけてくれました。

「美術関係の方ですか」

「いえ、工業製品のデザイナーです。」

私は、自分が彼らを見てどう感じているかを懸命に話しました。何をしたいと思っているかも。両足のふくらはぎから下に、薄いカーボンファイバーのブレードを履いたその青年は、にっこり笑って言いました。

「この脚をかっこいいって言ってくれて、うれしいです。自分でもそう思ってました(笑)。もっとかっこいい義足、欲しいです。そう言う考え方をしてくれる人がいることが、とてもうれしい。今度○○(別な競技)の練習も見に来てください。すごい義足があるんですよ」

やれることがあるかも知れないと感じた瞬間でした。

カーボンファイバーのバネの形状が、刀のようにシャープに見えることから、義足のアスリート達は、尊敬を込めて “Blade Runner” と呼ばれています

8月23日(日)に、メダリストを含むブレードランナー達と語り合うイベントがあります。実際に走ってくれるかも。

エンディング・スペシャルトーク
「未来の骨」

日時:8月23日(日)14:00-16:00
出演:山中俊治臼井二美男(義肢装具士)、鈴木徹大西瞳須川まきこ
場所:21_21 DESIGN SIGHT B1ロビー
参加費:無料(但し、当日の入場券が必要です)
定員:着席/先着80名
応募期間:8月7日(金)14:00開始、定員に達し次第終了
予約受付中!

2 Comments »

  1. 私も義足が美しいと思う人間の一人です。
    じっと見たい、と思いながら
    なぜかそうすることがいけないことのような気がしてしまいます。
    (機能・性能はもう当然のこととして)まずはデザインで語られるほどの
    そんな義足が登場する日も、
    近いような気がしました。

    ご活躍を。

    コメント by 550 — 8月 30, 2009 @ 10:15 am
  2. 550さん。コメントありがとうございます。山中です。
    きれいな靴にちょっと目を奪われるのと同じように、
    なにげなく視線を送ることができる日が来ることを私も願っています。

    コメント by yam — 8月 31, 2009 @ 11:35 am

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