便利
「骨」展も無事に開催し、まだ、いろいろと手はかかるものの、少し落ち着いた日々が戻って来ています。新緑の季節の慶應大学の湘南藤沢キャンパスは、とても美しく、私の部屋からも鮮やかな緑が見えています。
先ほど書類への印鑑を求めて学生が私の部屋へやって来ました。朱肉のついたキャップが反転する巧妙な仕組みの印鑑ホルダーを見て、学生が聞きました。
学生:「先生は、こういう便利な物は作らないんですか」
私: 「便利って、美しさと矛盾するからたいへんなんだよ」
「便利」は、機能美とは少し違うような気がする。写真は、「骨」展のために東京大学総合研究博物館から借りてきたダチョウの骨。その人を寄せ付けない美しさは、完璧な機能を持っているからかもしれないけれど、それはダチョウにとってであって、他者が使うようにはできてない。
そこがデザイナーの挑戦のしどころでもあるんですけどね。
(写真撮影:吉村昌也)