光を奏でるピアノのミニコンサート
「参(まいる)」の個性的な3人組が、6月13日土曜日に「骨」展会場でクリエイターズトーク「参の発掘調査報告会」を行います。
ご存じの方も多いと思いますが、「参」はいわゆるデザイン事務所ではありません。松尾伴大、甲斐健太郎、下山幸三の3人のメンバーはそれぞれに本業を持っていて、「参」の名はプロジェクト名と位置づけられています。つまり、アフターファイブの活動、副業なのです。
もちろん、秘密の活動ではありません。松尾さんは「五代目耳型職人」としてテレビにも登場する、第一線のソニーのイヤホン設計者です。クールで話しも上手。
これに対し強面の甲斐さんは、実は猫好きの心優しいソフトウェアエンジニアです。今回の作品は彼の部屋で制作されましたので、何度かおじゃましました。書棚のディープな漫画を話題にすると、甲斐さんはとてもうれしそうなのですが、あとのお二人はきょとんとしていたので、その手の文化傾向は、おひとりにとどまっているようです。
この二人はいつも楽しいボケとつっこみを応酬するのですが、横目でひとり静かに笑っている下山さんは、大阪でインテリアデザイナーとして活動しています。
この3人の連携から、新しい技術コンセプトをミニマルな形態に凝縮させた話題の作品が次々に生まれています。昨年、今年のミラノサローネに、英文名MILEとして出品した複数のプロトタイプは、いずれも注目を集め、多くのメディアに紹介されました。
ちなみに「参」の活動目的は「もてたいから」だと公言しています。この軽やかさも副業ならではなのかもしれませんね。
クリエイターズトークでは、光を奏でる謎のピアノ「失われた弦のためのパヴァーヌ」の制作ストーリーの紹介と、ミニコンサートが予定されています。芸達者な3人が、「流しの復元屋」に扮して、「発掘された骨からピアノというものを復元した」という架空の物語を報告するそうです。是非、今のうちに席を予約して、お運びください。理想の副業を探している人は必見(?)です。
なお、写真の「失われた弦のためのパヴァーヌ」は、来館された方はいつでも弾くことができますので、どうぞお試しください。
(写真撮影:吉村昌也)
山中さん
骨ピアノプレーヤーの永田ジョージです。
先日は「骨」展で、大学卒業以来会っていなかった「参」の作品サポートができてとても嬉しかったです。
「失われた弦のパヴァーヌ」は、アート作品としても世界に一つしかない楽器としても、とても斬新に感じました。プレーヤーとしてもオーディエンスとしても、本来ピアノは聴いて楽しむものですが、あれはどちらの立場であっても「聞いて」「観て」楽しめるものです。座ったポジションから見えるハンマーの上のプリズムのきらきら感を、皆さんにも感じていただきたかったです。
当日はお話できませんでしたが、また機会があればどこかでお話できれば幸いです。
それでは。
PS 僕もピアノを始めたきっかけは「参」の皆さんの活動目的と同じです。
永田さん
山中です。挨拶できずに引き上げてしまって申し訳ありませんでした。いずれゆっくりお話しさせて下さい。
永田さんが奏でる「失われた弦のパヴァーヌ」は、本当に美しく、やはり楽器は演奏者と一体になってこそのものだと思いました。
光を放つ電子楽器はたくさんありますが、グランドピアノの打弦機構を人がたたくことの生々しい迫力は特別の物ですね。それが、プリズムによる屈折という物理現象を引き起こすことからくる存在感のある光が、この作品の魅力であることを、改めて確かめることができました。
ありがとうございました。