自我像?

Bones — yam @ 5月 6, 2009 4:05 pm

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すごいかっこいい骨を見つけたよと娘がurlを知らせてくれたのが、前田幸太郎という作家を知るきっかけでした。

2年前まで学生だった前田さんは、自我像というタイトルの骨の彫刻をたくさん作っています。私のオフィスを訪ねてきてくれたときに、なぜ自我像なの?と質問したら「自分の理想の身体なんです」と答えてくれました。骨になりたくて一時は体重を40キロ近くまで落としていたのですが、体に悪いのでやめたとか。

お風呂から出て自分のあばら骨が浮き上がっているのを見ると満足という彼は、もちろん今もかなりやせていますが、私と会うときはいつもスーツとネクタイであらわれる、礼儀正しい青年です。以下は「骨」展で作品「骨蜘蛛」に添えられる解説。(写真撮影:吉村昌也)

蜘蛛は昆虫やカニと同じように体の表面が外骨格で覆われていますが、クモの外骨格は非常に柔らかく、ほとんど防御の役には立ちません。その代わりに、クモの脚は柔らかいチューブのようになっていて、伸ばすときに体液の圧力を使っていることが知られています。他の昆虫に比べると繊細で柔らかいクモ独特の歩き方はのこのあたりの構造と密接に関係があるようです。

前田幸太郎のこの彫刻作品は、あり得ない「骨」なのですが、不思議な説得力があります。実は脊椎動物の骨の構造を見ると、表面が硬く、内部に比較的柔らかい組織を持っていて、骨自体が外骨格構造のようでもあります。その意味では、クモの体の構造をそのまま骨に置き換えるのは、案外適切な比喩なのかもしれません。

2 Comments »

  1. こんばんわ。久しぶりにお邪魔しました!
    「自分の理想の身体」。。。すごくユニークな考え方ですね。
    2年前まで学生。。。私は今学生です。周りの男子のほとんどは骨皮筋雄で42キロ前後の男子ばかりです。最近の男子のスタイルみたいなものなんでしょうか。
    体に悪い。。。当たり前ですね。。。--;最近の若者は体型に関してこういう考え方をする人が多いのでしょうか。良くわかりませんが、細い男子を見ると時々不思議に思ったりします。同時に単なるDarwin氏の提唱した進化の過程に見られる人間の体の変化なのか、とも思ったりします。
    ちなみに私は最近筋トレに興味を抱いていたりします。
    骨は美しい。。。そして筋肉は骨の形・骨の組合せのお美しさをうまく引き立たせ、美しい体を形成するのだ、と常日頃思っています。。。
    なぜ筋肉の話になったんでしょう。関係ありませんね、すみません。。。
    「骨」に関するartや独特な考え方などは結構身近なところに発見できるものなんでしょうか。

    コメント by RM — 5月 7, 2009 @ 12:19 am
  2. RMさん、こんばんは。私もこの言葉を聞いてどきっとしました。何気ない言葉ひとつでキャラが立つのも、優れたアーティストの資質なのでしょう。

    コメント by yam — 5月 7, 2009 @ 1:25 am

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