Dyson, Apple, それぞれの理想主義

Mac & iPhone,Off — yam @ 12月 24, 2009 7:09 pm

dysonapple

ダイソンの羽のない扇風機を手に入れました。今ちょうど夏であるオーストラリアでは、扇風機市場におけるシェアがいきなり30%だそうです。ファンがないので「扇」風機じゃないですね。Air-multiplierという英語名からすると増風機かな。

アップルやダイソンは、いつも新しい世界を切り開いてくれます。そのもたらす未来が、マイクロソフトやGE が与えてくれる生活よりも何となく良さげに思えるのは、前の二社の商品にはある種の理想主義があるからでしょう。この会社に未来を託したいと思わせてくれる何かがある。

しかし、この二社の理想は対照的でもありますね。

アップルがいつも新しい使いやすさを提案するのに対し、ダイソンが提起するのは新しい機械原理。どちらも本質的な機能とスタイルを革新してくれるのですが、車に例えるなら、アップルは新しい運転操作をデザインし、ダイソンは新エンジンを開発します。

ユーザビリティに理想を求めるアップルと違って、ダイソンの場合は、ユーザビリティが二の次になることもあります。今回の増風機でも、首降りスイッチを押すと、スイッチそのものが本体と一緒に回り始め、止めようとする指先からスイッチが逃げ回ります。風向きを上下に変える方法にいたっては、他人がやった状況を見ない限り想像できないでしょう。

それでも、いやだからこそというべきなのかな、多少の犠牲を払ってまで追い求めたシンプルな形には、エンジニアが思い描く理想が明快に込められています。私たちはそれに感銘を受ける。

週末に訪ねてきた古い友人がこの増風機を見て「あなたもこういうの作ってよ」とあっさりとのたまいました。耳が痛い。

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