年輪は外側に作られる

Daily Science — yam @ September 12, 2010 6:41 pm

on_growth_rings

ある教授がぼやいていました。「学生に聞いたら、年輪って内側からできると思ってる人が多いんですよ。ちょっと考えれば分かることなのに。」そう言われて実は内心ドキリとしました。私も随分長い間、年輪は中心からできていくのだと思っていたからです。

確かに内側から作られて行くとしたら、外側の固い幹を押し広げないと大きくなれないので、外側が割れてしまうでしょう。大木の空洞化(ウロ)も、古くなった中心部の死滅によって発生します。そう考えると年輪が外側に加わるというのは納得できるのですが、初めて聞いた時はとても意外でした。子供の頃、キャベツを割るとの中心の方が新鮮だった経験から、幹もそんな風な物と誤解したのかもしれません。実際、キャベツやタマネギの球は幹ではなく葉の塊で、内側から新しい葉ができて行きます。内側の新芽がどんどん外の葉を押し広げるので、キャベツの収穫を怠ると内部圧力で割れてしまうことがあるそうです。

樹の幹が外側に形成されて行くのだとしたら、枝はどうなるのでしょう。徐々に埋まり込んでしまうのでは?、そう、それが「節」です。節は、かつての枝が幹に取り込まれた物。だから周囲の年輪よりも古く、固いのです。

人が作る物は普通は成長しないので、年輪のような成長輪は見当たらないのですが、例外はバウムクーヘン(Baumkuchen:ドイツ語で木のケーキ)ですね。生地をかけながら一層ずつ焼いて行くので、文字通りの成長輪があります。バウムクーヘンを放射状に切るのではなく、輪と無関係な方向に板状に切り出すと、まさに木材と同じように変化にとんだ木目が現れるので楽しめます。細いバームクーヘンを作っておいて、途中で埋め込むと「節」ができそうな気がするのですが、どなたか節のあるバームクーヘン作ってくれないかな。

写真は、木の年輪に沿って生えたキノコのかわいい整列。古い中心部でも乾燥した外縁でもない中間部が居心地が良かったのでしょうか。

(撮影:檜垣万里子)

3 Comments »

  1. 作られる順番が、そのモノの姿を表している。
    なんだか、デザインに通じるところがありますね。

    私のお腹の年輪は、
    内側に作られているような気がします。

    Comment by Flyingtak1 — September 13, 2010 @ 9:10 pm
  2. ブログの面白くて知的なお話を楽しく読ませていただいています。

    年輪は外から作られる。これは意外でした。確かに中学の時に形成層は外側にあるという事を思い出しました。一方でサルスベリの表皮は何故割れないかのかと思い始めました。

    私は年輪が作る木目に興味があります。幼稚園のころ病気がちだったので、いつも病床で天井を見ていました。昔の杉の天井板の木目を見て、色々な想像をしました。子供の時には怖い木目もありました。そこは見ない様にしていましたが。

    Comment by 平野宏和 — September 18, 2010 @ 6:22 am
  3. 平野さん

    コメントありがとうございます。
    電気自動車のツイートも快調ですね。いつも楽しみにしています。

    生物の成長のプロセスは、時間尺度が我々の日常感覚と異なるだけに、直感が働きにくいのかもしれません。
    人の骨なんかも縦に伸びる成長と横に膨らむ成長で異なるプロセスがあるようです。縦に伸びるのは一時期だけですが、その後も外側に新しい骨が形成され続け、一生太くなり続けるようです。お年寄りの骨が、なんとなく細いイメージなのは全くの間違いだそうです。

    天井の木目は、幼い頃の私にとってもしばしば恐怖の対象でした。

    Comment by yam — September 20, 2010 @ 7:36 pm

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