奇人天才シリーズその5:佐藤雅彦さん

Exhibition,Genius — yam @ July 17, 2010 3:45 pm

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佐藤雅彦研究室は、慶應義塾大学SFCでは一つの伝説になっています。大変な人気研究室で、所属を希望する学生は百人を超え、毎学期大教室で選抜試験が行われたそうです。試験科目には数学も含まれていて、佐藤研究室に入ることの方がSFCに入る事よりも遥かに難しいと言われていました。

佐藤さんと学生達が生み出した様々な傑作はここで紹介するまでもないと思います。「動け演算」、「ピタゴラスイッチ」、「日本のスイッチ」、「任意の点P」、「フレーミー」、「差分」…。一昼夜かけてピタゴラスイッチを作る合宿などもあったそうです。間とリズムが印象的な傑作CMをたくさん世に送り出した佐藤さんですが、研究室では日常感覚を数学的抽象で研ぎ澄まし、心にひびくアニメーションや絵本を作りました。

授業も大盛況で、300人が入る教室はいつも満席。佐藤さんが右手にケガをして左手で黒板に文字を書いていたとき、文章の途中で黒板の端まで来たらそのまま横の壁に文字を書きつづけていったというような逸話も残っています。

佐藤雅彦さんは、人見知りをされる事でも有名です。何度かお会いしたことがあるのですが、毎回、初対面のよう。ありきたりの話題にはほとんど関心を示さない方ですし、すぐに黙ってしまわれるので、たちまち間が持たなくなってしまいます。ところが、ご自身がそのときに一番関心を持っている話題にこちらが触れると、突然関を切ったように早口で話しはじめます。その瞬間に居合わせた人は、この人の天才的思考の一端に触れる幸運に恵まれます。

先日お会いした時は、計画中の展覧会のアイデアについての怒濤のお話に出くわしました。自分の境界線、属性、自分がカテゴライズされる事の意味、鏡の向こう側の自分、自分の一部が他人に利用される事の恐怖、などなど、圧倒されるような思索の連鎖。

そのときの話題が、「これも自分と認めざるをえない」展。21_21 DESIGN SIGHTで16日から開催されました。入場者は最初に自分を登録して、様々な体験型展示物の間を歩いて回ります。骨展でもお世話になったコーディネーターの田中みゆきさんいわく「健康診断」あるいは「注文の多い料理店」。人々が、床に引かれた矢印に沿って、自分に関する何かを教えてくれるさまざまな装置を順に巡って歩く様は、確かに人間ドックのようです。

先日の内覧会は大変込み合っていたので、佐藤さんは、多くの人がちゃんと体験できているかどうかが気になって走り回っていました。込み合ってない平日の昼間がねらい目です。

あ、ひとつだけ。自分の名前を登録するときには、ちゃんと氏名を漢字で入れましょう。その方がより深く自分と向き合えそうです。

5 Comments »

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  2. 2121見に行きました。
    虹彩認証が故障して体験できなかったのですが、最新テクノロジーをデザインすることの意味とか、体験して自分を知るとか、まさに「疑問を持ち帰る」展示でした。
    テクノロジーは何気なく使われているけど、このように意味を持たせられる佐藤さん、すごい。

    それから「つまらない」という感情すらも「あたらしいつまらない」という感情を経験する意味に作り替えてしまうところも、行動学観点からが理解できるテクノロジーを表現するのには大事な要素だと思いました。
    成果物としての商品には必要な要素ですが、デザインによくある「楽しい」とか「キャッチー」「かわいい」「かっこいい」とかいうすべてが単一化される一般的なイメージも考え直すことができそうです。

    Comment by Tomoko ARai — July 20, 2010 @ 1:18 pm
  3. 【記載漏れのため・・】
    それから佐藤さんがAB型だということも判明して良かったです。
    変態と言われてるけどさとうさんもAB型ならがんばって生きていけそうです。

    Comment by Tomoko ARai — July 20, 2010 @ 2:03 pm
  4. Tomoko ARaiさん

    早速行かれたのですね。
    込み合っていて大変だったしょう。
    佐藤さんも「なんとか客が来ないようにする方法ないかな」などとぼやいているとか。

    この展覧会の素晴らしさは写真や文章ではなかなか伝わりませんね。
    周りの人にも勧めてあげて下さい。

    ちなみに私も変態と言われているAB型です。

    Comment by yam — July 20, 2010 @ 3:35 pm
  5. 山中さんまでAB型・・・ああ!すてきですね!!
    ますます自信がつきました。
    次回は虹彩認証ができますように・・・・

    Comment by Tomoko ARai — July 20, 2010 @ 8:06 pm

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