生き残れなかった斬新なアイデア
カンブリア紀の生物のスケッチから、オパビニアです。五つの目、象の鼻のようにのびた口、開いたエビのような胴体としっぽ、もうわけがわかんないデザイン。これも過去に紹介したハルキゲニアやアノマロカリスと同じく、化石の写真から私なりに書いてみた、「古生物学者ごっこ」の一枚です。
カンブリア紀は、生物の外観デザインが急速に多様化した時代です。
5億4千万年前、突然に生き物たちの間の食う食われるの生存競争が激化しました。それまでの生き物の多くは、海の中を漂うようにのんびりと暮らしていたとか。弱肉強食の世界になったきっかけは、お互いの位置が遠くからでもわかる「目」が生まれた事だと言われています。
その後、進化の歴史から見ると非常に短期間に、固い殻、とげ、爪、牙、高速で追いかけっこをするためのひれなどの器官を、生き物たちは次々に獲得していきました。現在の生物が持つ硬い器官の原型の多くがこの時代に生まれたそうです。
同時に、私たちには見慣れない、まるで地球外の生き物のような不思議なデザインの生物もたくさん生まれました。しかしこのオパビニアを始め、その多くは長く子孫を残す事なく消えていきました。
ある技術がきっかけで市場が活性化する。市場競争がさらなる技術開発を促す。開発の初期にはいろいろなアイデアが試され、奇抜なものもたくさん生まれる。そして、その多くがすぐに市場から消えてしまう。
なんとなく身につまされながら描いたスケッチです。
(スケッチの初出は雑誌AXIS。98年、アスキー出版「フューチャー・スタイル」に再掲載。)
前回に続き、スケッチ公開ありがとうございます。
最近デッサンに触れる機会があり、自分でも描いてみようと道具を揃えました。
練り消しって遊び道具ではなく、デッサンで使うものだったのですね。
対象を見たままに描く事がこんなに難しく、楽しい事なのかと日々実感しています。
山中さんのスケッチを拝見するたび、化石写真から生物の立体的な線をどうやって描き出しているのか不思議でなりません。
山中さんの頭の中では生きたままの姿が浮かんでいるのでしょうか?
今後も楽しみに拝見させて頂きます。
tq3さん
コメントありがとうございます。
絵を描くって楽しいですよね。
細かいところまで鮮明に浮かぶわけではありません。
何枚かスケッチしているうちに、立体構造が頭の中にできてきます。
その構造をつかんでしまえばどんな向きにでも出力可能になります。
キーフレームをポンとおいてからだんだん細かくして行く感じ。
始めから細部にとらわれてしまうとうまくいかないですね。
なるほど、まさに3次元のスキャニングですね。
初めてデッサンを描くときも、先ず輪郭を描き、一度塗り潰してから陰影を付けると現実感が出せると言われました。
これから練習を続けていってその感覚を身に付けたいと思います。
ありがとうございます。