上海

Off — yam @ 1月 12, 2010 3:00 pm

shanghai

二泊三日で上海に行き、「新天地」という二十世紀初頭の町並みを復元した新しい観光エリアを訪ねてみました。正直に言うとあまり期待していなかったので、ちょっと感動しました。

昔の細い路地裏を再現した観光地というと、日本にもよくあるビル内のテーマパーク的飲食街を思い浮かべますが、かなり大規模で本格的。レジデンスもあり、小さな湖もあり、むしろ町の再生と言った印象のものです。石造りの建物の質感やディティールには風格があり、その中に並ぶバー、レストラン、ブティックなどの内装は現代的な感覚で細部まで良くコントロールされています。これほどに繊細で居心地の良いものに出会えるとは全く期待していなかったので、六本木ヒルズよりよほど消費意欲をそそられました。

過去の文化の表層的な再現に終わらせず、現代的なスタイルと融合させる事に成功した町並みは、ヨーロッパの城郭都市や京都の一部に好例を見いだすことができます。そういう街に共通する事は人々がその土地の文化遺産を愛し、今の生活の中にとりいれていること。

上海の他の地域を見る限り、そういうものが必ずしも大切にされているとは言いがたいし、「新天地」の石庫門建築も保存状態が悪くて新しく作られたものも多いらしいのですが、それでも、人々の心の中にある、過去の文化への深い敬意を感じることができました。やはり歴史のある国ですね。中国デザインの未来が楽しみです。

ついでに、上海に行って「上海」をやるという夢もかなえてきました。

2 Comments »

  1. 初めまして、いつも楽しみに読まさせて頂いています。
    「新天地」と言う場所の事は無知なもので、
    今回の話を読んで、その場所へ行きたくなり、期待も湧いてきました。
    しかし、今回の話では、期待していなかった山中先生が感動したのであって、
    実際にその場所へ期待した自分が行ったら、どうなるのか?と考えている自分もいます。
    無知な人が得る情報と言うものは素直に受け入れてしまうという心理が面白くて、勉強になりました。

    コメント by one+one — 1月 14, 2010 @ 2:04 am
  2. one+oneさん、はじめまして。
    コメントありがとうございます。
    上海の新天地はビジネス的にも大成功だったらしく、
    今や中国のあちこちに「○○新天地」ができつつあるそうです。

    コメント by yam — 1月 16, 2010 @ 9:59 am

RSS feed for comments on this post. TrackBack URI

Leave a comment

Copyright(c)2024 山中俊治の「デザインの骨格」 All rights reserved. Powered by WordPress with Barecity