iPhoneを使いこなす赤子

Bones,Mac & iPhone — yam @ 12月 21, 2009 2:50 am

iphonebaby

骨展忘年会の土佐さんによるオタマトーン演奏もすごかったですが、もう一つ地味にすごい光景を見てしまいました。

参加者の一人がつれてきた一歳半のお子さんが、ふと父親のiphoneに手を伸ばしたのです。まだほとんど意味のある言葉も話せないのに、左手でそれを持ち、右手の人差し指でキーをスライドさせて、こともなげにロックを解除させました。唖然として見ていると、そのままアプリ一覧をスクロールして、ipodアプリを立ち上げ、自分が映っているビデオや、家族の写真を拾いだしてきて、こちらを見てにっこり。

画面の3分の一ほどしかない小さな指が、右に左に写真をスルーする様は圧巻です。それに飽きると、別なメディアアート系のアプリを立ち上げて、父親に見せたりもしていました。

特に教わる事もなく、見よう見まねで触っているうちに使いこなしたのだとか。他のケータイは使えないそうです。

少し前に、工学部の学生と、アップルはなぜ一つボタンにこだわるかという議論をしました。「もうひとつか二つボタンがあるだけで、格段に使いやすくなるのに」という学生に、iPhoneのインターフェースは「やってみればわかる」を基本にしているからじゃないかと私は答えました。

複数のボタンを機能させるためには、必ずある種の決めごとが必要になります。その決めごとは文字や記号で表示されることになり、それを理解しない限り、そのキーを使うことはできません。アップルはそういう言語的な決めごとを嫌ったのでしょう。

その徹底ぶりを確認できた一場面でした。

9 Comments »

  1. […] This post was mentioned on Twitter by 「い」, Crazy. Crazy said: 山中俊治の「デザインの骨格」 » iPhoneを使いこなす赤子: 骨展忘年会の土佐さんによるオタマトーン演奏もすごかったですが、もう一つ地味にすごい光景を見てしまいました。参加者の一人がつれてきた一歳半のお子さんが、ふと父.. http://bit.ly/4FqwyQ […]

  2. コメント失礼します。

    我が家の男の子も二歳ぐらいからか、iPhoneを使いこなすようになりました。もうすぐ四歳です。
    彼らの距離やメディアの概念が自分達と大きく違うんだなぁということに驚くことが多いです。
    息子はデジタルインターフェースの基本はタッチパネルだと思っているようです。ふつーのケータイ渡しても画面を触ります。
    テレビよりもDVDやiPhoneのYouTubeでアニメ等を見ることが多いせいか、決まった時間にしか見れないテレビの仕組みがいまいち理解できていない様子だったり、祖父母と話したいときには勝手にskypeを立ち上げていたりします。文字も読めないのに画面に現れるアラートに対しても的確にイエス/ノーを返していたりもします。

    わが子だけでなく、彼と同い年の近所の子供たちもみんなそういう感じのようです。
    かといってデジタル偏重なわけではなく、木の実の採取やフィジカルな遊びの楽しさも知っているようで、大人のように混同していたり、デジタルに引きづられていたりしないのがすごいなぁと思います。

    彼らが小さいうちにアップルのインターフェースをデフォルトと認識して慣れ親しむようになると、十年後、二十年後のデファクトスタンダードは今とはずいぶん変わったものになっていくんでしょうね。そういったインターフェースの将来性まで考えて設計されていたりもするんでしょうか・・・?

    コメント by kugehajime — 12月 21, 2009 @ 12:18 pm
  3. kugehajimeさん、コメントありがとうございます。

    ご子息もすごいですね。

    「決まった時間にしか見れないテレビの仕組みがいまいち理解できていない」のは感慨深いです。「オンデマンドの映像視聴」や「直感的なUI」を理想としてプロダクトをデザインしてきた私たちとしては、計画通り…のはず…ですよね。

    コメント by yam — 12月 21, 2009 @ 11:28 pm
  4. こんばんは。
    先日、iPhoneはいりません・・なんて・・・
    舌の根もかわかないうちに・・・
    実は、昨日手にいれちゃったんです。はい。
    でも、全然使い方が慣れなくて・・・。
    1歳半や2歳のお子さんの方がはるかに能力が優れてるっていう、
    この現実に・・・少々、ショックを覚えます。
    お正月休みを利用して、少しずつ覚えます。
    やっぱり、私には無用の長物なのかも・・・。

    コメント by powaro — 12月 21, 2009 @ 11:36 pm
  5. powaroさん、おはようございます。
    大丈夫ですよ。
    大人はどうしても、ものの仕組みを理解してから使おうとします。
    そうするとこの装置は今までとあまりに違うからなじみにくい。
    携帯電話だと思わず、適当にやってみて、わからなくなったらともかく、下の凹みを押して元に戻る。
    そうやって遊んでいれば1日で慣れます。
    転ぶのを怖がらない子供の方が速くスケートを覚えるのと同じです。
    転んでもひどいことにならないのが、iPhoneのいいところです。

    コメント by yam — 12月 23, 2009 @ 9:33 am
  6. […] http://lleedd.main.jp/blog/2009/12/21/iphone_baby/ […]

    ピンバック by Twitter Updates for 2009-12-23 « Bamvivid — 12月 23, 2009 @ 1:18 pm
  7. 山中さん,はじめまして.
    私の知り合いの子どもも,iPhone だけは使えるそうです.
    山中さんのテキストを引用させてもらって,
    自分のブログで「言語的な決めごと」について考えたときに思ったのですが,
    このお子さんはピンチイン・アウトでズームとかもできたのでしょうか.
    できたとすれば,マルチタッチ・ジェスチャーって,
    私たちの言語以前の世界認識と関係があるかもしれないかもと,
    勝手に考えてしまいました.

    コメント by m_m — 12月 25, 2009 @ 3:27 am
  8. […] 山中俊治の「デザインの骨格」 » iPhoneを使いこなす赤子 1歳半でも使えるUI […]

  9. […] 第1試合は、お台場テレコムセンターで行われたキッズデザインセミナー。「iPhoneを使いこなす赤子」のムービーに、皆さん相当の衝撃を受けていただいたようです。当分使えそう。 […]

RSS feed for comments on this post. TrackBack URI

Leave a comment

Copyright(c)2024 山中俊治の「デザインの骨格」 All rights reserved. Powered by WordPress with Barecity