奇人天才シリーズその1:猪子寿之さん
PROJECT F interface design from TEAMLAB on Vimeo.
Team Labの猪子寿之さんは、かなり奇人の部類に入るでしょう。ネット上でも、野性的とか天才とか、あるいはヘンタイとか、こわれてるとかいろいろな形容に事欠かない人です。今回のプロジェクトFのミーティングの中での彼の台詞を拾ってみます。私の記憶なので違っていたら猪子さん、すみません。
「おしゃれーなの作ろーかなとも思ったんですよ。でも、おれらが作ってるものって、しょーもないじゃないすか。しょーもないおしゃれな奴って最低っすよね。だから今回は地道にやります。」
「一回戦はぼろ負けしちゃったから、インターフェースっぽいのやってみたんすけど、どーすかね。わかんないんすよ、こういうのホントに・・・慣れてないんで」
そのアナーキーな言葉の裏側には、繊細な感覚と明晰な自己分析を感じました。30を過ぎたばかりで150人を率いる人だけあって、実際にやり取りしてみると、人を食ったような物言いの、はしばしに頭の回転の速さが伝わってきます。
実際、ミーティングの最中にいくつかの問題点を指摘させてもらったのですが、それをきちんと受け止めるだけでなく、最終的にはその問題の解決が主たるデザインテーマに昇華されていました。なかなかこういう芸当はできるものではありません。
本人は「しょーもない」とおっしゃってますが、これまでのチームラボの仕事は、いずれも非常に完成度が高く、新鮮なダイナミズムにあふれています。
今回のアウトプットも含めて、そこには共通する感覚があるように思いました。それは一種の箱庭感覚。画面の中に刻々と変化する小さな世界があって、それをときどきいじりながら、神様の視点で眺めている。猪子さんは、机の上の秘密基地みたいなのが大好きな子供だったんじゃないでしょうか。でもそういうことを言うと
「やだなーそれ、なんか見透かされてるみたいじゃないっすか」
天才と仕事をするのは楽しいです。なんかシリーズ化したくなりました。続くかなー。
是非ぜひシリーズ化を!
数多くの天才(ご自身を含め)と出会い、ともに仕事をされている山中さんだからこそ書ける現代の天才人物録だと思います。
続編を期待しております。
それにしても…直観で本質を見抜く才能は天性のものですよね。
そしてそれは、必ずしも山中さんのような精緻な言葉で表されるわけではないことに一種の安堵をおぼえました。
etoileさん、こんにちは。山中です。
私にとっては、簡単な言葉で本質をあっさり言う人ほど恐ろしいものはないんです。かなわないという感じ。
そういう人をシリーズ化できたらと思うのですが…。