座れない椅子、けなげな椅子
「骨」展の展示物のキャプションからふたつ。
家具の骨
良くデザインされた椅子は、すべての要素が人を支えるための構造であり、骨格とそれ以外の部分に分けることは難しいでしょう。しかしここでは、名作と言われる家具の座面や天板をはずして、構造体だけを展示してみました。これを見ると巨匠達がエレガントな構造を実現するために、細部に精妙な工夫を凝らしていることがとてもよくわかります。もはや座ってみることは出来ませんが、広く知られるものばかりですので、どこかで出会っているのではないでしょうか。
MONGOOSE STUDIO「Galvanic Frame」(写真)
椅子に座るとき、私たちはその椅子がどんな力に耐えているのかを意識することはあまりありません。しかし、椅子をできるだけ軽く、繊細に作りたいデザイナーにとっては、構造体のどこにどのような力がかかっているのかを知ることはとても重要です。Mongoose Studioのクリエーター達は、コンピュータを使って骨格に潜む力を推定し、光に置き換えました。もし椅子の骨格に、力がかかったことを感じ取る神経があったら、人が座るたびに節々が少し痛むでしょう。この光は、そんな椅子のけなげながんばりを表しています。
(写真撮影:吉村昌也)