高速で走るロボット
takramという名前をメディアで見るたびにうれしくなってしまいます。創立した田川欣哉と畑中元秀の二人は私の教え子であり、特に代表の田川は私の元に7年もいました。昔の書生さんのように、私の家に住み込んでいたこともあります。
その田川が、私のオフィスでアルバイトを始めた学生だった頃のある日、こんな事を言いました。
「先生、今まで僕はデザイナーになろうかエンジニアになろうか迷っていたのですが、そんなこと決めなくてもいいんですね。」
それこそが私が切り開こうとして、長くもがいてきた道でした。とてもむくわれた気がしたのです
そこを出発点とする彼らが「骨」展のためにロボットを製作してくれました。その名はPhasma。畑中がスタンフォード留学中に行っていた研究をベースに、生きものの「走り」ためのしなやかな骨格構造を抜き出して人工物に当てはめ、生命を表現することを試みています。しゅるしゅると高速でつっ走る小型の多脚ロボットです。
写真はその中枢部の試作。(写真:吉村昌也)
田川欣哉さんの言葉、僕もとても自分と重なるところがあります。
僕は機械系の大学生ですが、ずっとデザイナーにあこがれていました。
来年からは大好きな椅子の設計開発職につきます。
いつか自分のデザインを形にできるエンジニアになることをめざして。